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【 ルクサナバイオテク株式会社】IP BASE AWARD ファイナリスト決定! 【ノミネート企業紹介シリーズ Vol.4】 核酸医薬品開発が、治療薬がなくて苦しむ患者さんに一筋の光をもたらす!

IP BASE AWARD ファイナリスト決定!【ノミネート企業紹介シリーズ Vol.4】ルクサナバイオテク株式会社。核酸医薬品開発が、治療薬がなくて苦しむ患者さんに一筋の光をもたらす!と書かれた、黄金のトロフィーが輝くアイキャッチ画像。

先日、iPS細胞を活用した製品の実用化に向けたニュースが発表されました。これまでの常識を覆すような医療技術の目覚ましい進歩を目の当たりにし、私たち人類が「不治の病」と呼ばれていた難治性疾患を克服できる未来が、すぐそこまで来ていることを実感します。

こうした最先端の医療分野において、iPS細胞と並んで世界中から熱い視線が注がれている次世代のモダリティ(治療手段)が「核酸医薬」です。

「第7回 IP BASE AWARD ファイナリスト紹介シリーズ」も、いよいよ今回が第4弾(最終回)となります。前回の株式会社ゼロボード様の紹介記事に続き、本シリーズの最後を飾るのは、大阪大学発のバイオベンチャーであり、独自の人工修飾核酸技術で世界の創薬をリードする「ルクサナバイオテク株式会社」です。

🏆 第7回 IP BASE AWARD ファイナリスト(スタートアップ部門)

  • EAGLYS株式会社:秘密計算技術によるデータセキュリティ・利活用
    Vol.1 公開済
  • エピストラ株式会社:AI×バイオ(実験自動化)によるライフサイエンス加速
    Vol.2 公開済
  • 株式会社ゼロボード:GHG排出量算定・可視化クラウド
    Vol.3 公開済
  • ルクサナバイオテク株式会社:核酸医薬における独自技術
    ★Vol.4 今回解説(最終回)★

同社はいかにして核酸医薬が抱える「毒性」という大きな壁を乗り越え、そしてその革新的な技術をどのように知財・ライセンス戦略へと落とし込んでいるのでしょうか。最先端の創薬ビジネスと知財の交差点を、わかりやすく紐解いていきます。

→→→→ ルクサナバイオテク株式会社 様の公式HPはコチラ←←←←

📌この記事の要点
⏱️読了目安: [約6分]

  • 大阪大学・小比賀教授らの技術(AmNA等)を基盤とする創薬プラットフォーム「LuxiAP®」を展開し、従来技術の課題であった「肝毒性・神経毒性」を克服
  • シリーズCラウンドで累計26.9億円の資金調達を実施。武田薬品工業や仏セルヴィエ社との協業など、国内外で事業連携が加速。
  • 特許の「インライセンス(技術導入)」と「アウトライセンス(技術・原料提供)」を巧みに使い分け、リスクを抑えながら業界標準化を狙う高度な知財戦略を実践。

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大阪大学発。難治性疾患に挑む「ルクサナバイオテク」の軌跡

ルクサナバイオテク株式会社は、大阪大学の小比賀聡(おびか さとし)教授らによって長年蓄積された「核酸化学技術」を基礎として、2017年に設立されたバイオベンチャーです。

設立以来、従来の医薬品では治療が困難だった遺伝病や免疫疾患、中枢神経系疾患などに向けた治療薬の実現を目指し、驚異的なスピードで事業を拡大しています。

2017年12月
大阪大学で蓄積された核酸化学技術の実用化を目指し、ルクサナバイオテク株式会社を設立

2022年〜2023年
武田薬品工業への技術ライセンス供与(2022年)、仏セルヴィエ社との共同研究開始(2023年)など、国内外の製薬大手との協業が本格化。

2024年9月 〜 2025年8月
シリーズCラウンドにて大規模な資金調達を実施。
2024年9月のファーストクローズ(2.4億円)に続き、2025年8月のセカンドクローズ(1.5億円)を完了し、累計調達額は26.9億円に到達。また、住商ファーマインターナショナル(SPI)との全世界における非独占的製造販売ライセンス契約も締結。

2026年2月
代表取締役社長CEOの佐藤秀昭氏が、特許庁主催の「第7回 IP BASE AWARD」においてファイナリストに選出される。

【技術解説】なぜルクサナの「修飾核酸」は優れているのか?

核酸医薬の分野において、これまでは「LNA」と呼ばれる人工核酸技術が広く知られていました。しかし、過去に米Aligos Therapeutics社がこの技術を用いた臨床試験を行った際、患者に深刻な肝毒性(肝臓障害)が見られ、開発が中止に追い込まれるという苦い経験がありました。

ルクサナバイオテクは、この「毒性」という核酸医薬最大の弱点を、独自の人工修飾核酸群(AmNA™、scpBNA™、GuNA™、5’-CP™)によって劇的に改善することに成功しました。

【用語解説】核酸医薬とアンチセンスとは?

核酸医薬は、DNAやRNAの構成成分である「核酸」をベースに人工的に作られた薬です。従来の薬(低分子化合物や抗体)がタンパク質を標的にするのに対し、核酸医薬は病気の原因となる遺伝子(mRNA)そのものに直接結合し、病気の原因を上流から根本的に断つことができます。

中でもアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、標的のmRNAにピタリと張り付くことで、異常なタンパク質が作られるのを防ぐ技術です。ルクサナバイオテクは、このASOの安全性を極限まで高める技術を持っています。

同社の技術がいかに優れているか、従来の技術と比較してみましょう。

従来の技術(LNAなど)

  • 標的への結合力(ハイブリ)は高い。
  • しかし、強い「肝毒性」を引き起こすリスクがあった。
  • 分解を防ぐために、別の化学修飾(PS化)が必須であり、それがさらなる毒性の原因にもなっていた。

ルクサナの独自技術(AmNA, GuNA, 5′-CP等)

  • 標的への強力な結合力を維持。
  • 肝毒性や神経毒性を劇的に低減(安全性の確保)
  • 「5′-CP®」などの技術により、PS化を不要にしつつ、薬の効き目を長持ちさせる(ヌクレアーゼ耐性)ことが可能に。

さらに、修飾のバリエーション(プラスチャージの付与や疎水度の調整)を持たせることで、これまで届きにくかった中枢神経系などの特定の臓器へ薬をデリバリーする(届ける場所を変える)可能性も拓かれています。

【特許事例】小細胞肺癌治療薬(特許第7473113号)にみる実力

では、これらの技術は実際の治療にどう活きるのでしょうか。2024年4月に登録された特許(特許第7473113号)を例に見てみましょう。

この特許は、大阪大学と医薬基盤・健康・栄養研究所が権利を持ち、発明者にはルクサナバイオテクの社員(鈴木氏、山上氏、梅本氏)も名を連ねている強力な産学連携の結晶です。

小細胞肺癌の「悪性化のスイッチ」を狙い撃ち
特許第7473113号

小細胞肺癌の悪性度を高める「nSR100」という遺伝子の働きを元から抑え込む、画期的な核酸医薬の技術です。

  • 原因遺伝子をピンポイント抑制:同社の安全で強力な人工修飾核酸(AmNAなど)を組み込んだアンチセンス核酸が、異常な遺伝子の働きをブロックします。
  • データが示す腫瘍縮小効果:特許の実施例では、細胞レベルで癌細胞の増殖がストップしただけでなく、マウスを用いた動物実験(インビボ)においても、明確な腫瘍の縮小効果が確認されています。
  • 難治性がん治療の希望に:副作用(毒性)を抑えつつ高い薬効を示すこの技術は、現在有効な治療法が限られている小細胞肺癌をはじめとする難治性疾患の新たな治療法として期待されています。

【知財戦略】エコシステムを創り出す「ライセンス戦略」の妙

どんなに素晴らしい技術も、自社だけで抱え込んでいては、莫大な時間とコスト(そして開発中止のリスク)に押し潰されてしまいます。ルクサナバイオテクが際立っているのは、知財を巧みに操る「ライセンス戦略」によって、業界全体を巻き込む強固なビジネスのエコシステムを構築している点です。

  • 【インライセンス】大学の知を事業化の土俵へ:
    大阪大学で生まれた優れた基礎技術の中から、「ビジネスとして勝算があるもの」だけを厳格に見極め、包括的にライセンスを受けることで、他社には真似できない独自のプラットフォーム(LuxiAP®)を構築しています。
  • 【アウトライセンス(創薬)】リスクの分散と早期収益化:
    武田薬品工業などの大手製薬会社へ技術をライセンスし、共同開発を行うことで、莫大な開発リスクを他社と分散。同時に、マイルストンフィーなどの継続的な収益(研究開発資金)を確保しています。
  • 【アウトライセンス(原料供給)】業界標準化への布石:
    住商ファーマインターナショナル(SPI)に対し、原料(修飾核酸モノマー)の「非独占的製造販売ライセンス」を供与しました。(※SPIは薬そのものではなく原料を供給します)
    これにより、「製薬会社がルクサナの技術を使いたいと思ったとき、いつでも安定して高品質な原料が手に入る」というサプライチェーンを確立し、自社技術を核酸医薬業界の「標準プラットフォーム」へと押し上げています。

自社は創薬プラットフォームの進化に特化し、製造や大規模な臨床試験は信頼できるパートナーに委ねる。この知財を通じた「役割分担」こそが、バイオベンチャーが生き残るための最も賢い戦い方と言えるでしょう。

まとめ:次世代の創薬を支える知財と、いよいよ開催のIP BASE AWARD!

今回は、ルクサナバイオテク株式会社の革新的な技術と、それを社会に届けるための緻密な知財・ライセンス戦略について解説しました。

新しいモダリティ(治療手段)の開発には、想像を絶する困難と長い年月が伴います。研究者の皆様、そしてその技術を権利として守り抜き、パートナー企業との複雑なライセンス契約を取りまとめる知財担当者の皆様の並々ならぬご苦労には、本当に頭が下がる思いです。

私たちシステム提供者は、こうした世界を変えるような技術を生み出す皆様が、少しでも「本来注力すべき創造的な業務」に向き合えるよう、業務の裏側からサポートし続ける存在でありたいと強く願っています。

いよいよ開催!「第7回 IP BASE AWARD」

本シリーズでご紹介してきた素晴らしいファイナリスト企業の中から、いよいよグランプリが発表される「第7回 IP BASE AWARD」の授賞式が開催されます。
スタートアップの知財戦略の「今」を知る絶好の機会です。ぜひ会場へ足をお運びください!

  • 📅 日時:2026年3月3日(火)15:30〜18:30
  • 📍 場所:東京都立産業貿易センター浜松町館(2F・3F)
    (JID2026 by ASCIISTARTUP会場内)
  • 🎫 参加費:無料(※事前登録制)

全4回にわたってお届けした「IP BASE AWARD ファイナリスト紹介シリーズ」、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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▲ ルクサナバイオテクの技術革新と知財戦略の全体まとめ

【こちらの記事もオススメです】

これまでのIP BASE AWARDファイナリスト紹介シリーズもぜひ併せてご覧ください。各社のアプローチの違いから、スタートアップ知財の多様な戦略を学ぶことができます。


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このブログでは、皆様のビジネスや研究活動のヒントとなる知財情報を発信していきます。


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