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【日本食の納豆が海外でブーム到来?!】輸出額が過去10年で3倍に…! 古くから日本人の食卓を支える「納豆」を 知財目線で紐解いてみる! GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト) についても簡単にご案内します!

「日本食の納豆が海外でブーム到来」という見出しテキストとともに、藁(わら)づとに包まれた納豆を箸で持ち上げているアイキャッチ画像

突然ですが、我が家の息子は大の納豆好きです。実はかなりの偏食気味なのですが、納豆と鮭の塩焼きだけはペロリと平らげてくれます。「本当は野菜やお肉も好き嫌いせずに食べてほしい…」と悩みつつも、栄養価満点の納豆を好んで食べてくれることには、親としてとても助けられています。

そんな日本の食卓の強い味方でもある「納豆」ですが、近年、海外でもかつてないほどの人気を集めているのをご存知でしょうか。なんと2025年の輸出額は32億円を突破し、中には海外向け売り上げが9年前の500万円から3億円超(60倍)へと急成長を遂げた企業も存在します。「あのネバネバとニオイが…」と外国人に敬遠されていたのは今は昔。健康志向の高まりや、世界的インフルエンサーの発信も追い風となり、日本の伝統食が世界中で再評価されているのです。

しかし、この躍進を支えているのは単なるブームだけではありません。私たちが日々当たり前のように食べている納豆には、美味しさや利便性を追求したメーカーの並々ならぬ努力と、それを守る「知財(特許や意匠)」が隠されています。

本記事では、納豆の歴史や身近な技術開発の裏側を紐解きながら、日本の農林水産物を世界へ届けるための輸出支援制度「GFP」の活用事例まで、知財担当者や事業責任者の皆様に役立つ情報をお届けします。

しかし、この躍進を支えているのは単なるブームだけではありません。私たちが日々当たり前のように食べている納豆には、美味しさや利便性を追求したメーカーの並々ならぬ努力と、それを守る「知財(特許や意匠)」が隠されています。

本記事では、納豆の歴史や身近な技術開発の裏側を紐解きながら、日本の農林水産物を世界へ届けるための輸出支援制度「GFP」の活用事例まで、知財担当者や事業責任者の皆様に役立つ情報をお届けします。

📌この記事の要点
⏱️読了目安: [約5分]

  • 海外での納豆需要が急増。輸出額は32億円を突破し、健康食として世界中で注目を集めている。
  • ミツカンの「パキッ!とたれ」やタカノフーズの製造技術など、身近な納豆にも利便性と美味しさを追求した「特許や意匠」が活用されている。
  • 「GFP」やジェトロの支援を活用し、食品安全認証の取得や現地ニーズへの適応を図ることで、輸出を飛躍的に拡大させる企業が急増している。

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偶然の産物から世界の健康食へ。納豆と日本人の深いかかわり

大豆自体は縄文時代から栽培されていましたが、糸引き納豆の起源ははっきりと分かっていません。一説には、煮た大豆と住居に敷かれていた藁(わら)に付着した納豆菌が、適度な温度と湿度の下で偶然作用して生まれたと考えられています。

11世紀半ば
藤原明衡の『新猿楽記』に「納豆」という言葉が初めて登場する。

1894年
矢部規矩治によって「納豆ノ研究」が発表され、科学的なアプローチが始まる。

1918年
半澤洵が納豆菌を純粋培養し、衛生的で安定した製造方法を確立。近代納豆の幕開けとなる。

2025年
納豆の輸出額が32億1000万円を記録。インフルエンサーの発信等により海外で人気が爆発。

【豆知識】「納豆」という名前の由来とは?

神様や将軍に「納めた豆」だからという説や、稲藁を束ねた「苞(つと)」の中に納めたからという説があります。「豆腐と名前が入れ替わった」という俗説がありますが、豆腐は中国から伝来した名前そのままなので、これは誤りです。

なぜ今、世界で納豆が求められているのか?輸出急増の3つの理由

統計が開始された2017年以来、納豆の輸出量は右肩上がりで成長を続け、輸出額は当時の約3倍にまで拡大しました 。かつては「ネバネバとした見た目と特有のニオイが無理」と外国人に敬遠されがちだった納豆 が、なぜこれほどまでに世界で受け入れられているのでしょうか?その背景には、大きく3つの要因が絡み合っているとされています。

Reason 01

和食ブームと「健康志向」の加速

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことに加え、新型コロナウイルス禍をきっかけとした世界的な健康志向の高まりが強力な追い風となりました 。特に2020年、世界4大医学誌の一つ「BMJ」で、納豆が死亡リスクを低下させる食材として紹介されたことで、優れた健康食品としての評価が確固たるものになりました。

Reason 02

世界的インフルエンサーによる「SNSでの拡散」

グラミー賞を受賞した有名歌手などの影響力のあるインフルエンサーが、SNSでからしとタレを加えた納豆を美味しそうに頬張る動画を投稿したことが話題を呼びました。TikTokなどのプラットフォームを通じ、さまざまな言語で納豆を楽しむ様子が世界中に拡散されたことで、国境を越えて「クールな食べ物」として認知され始めています。

Reason 03

インバウンド客による本場の味の「再発見とローカライズ」

日本を訪れた外国人観光客が宿泊先の朝食などで納豆の美味しさに触れ、帰国後も買い求めるというインバウンドの好循環も生まれています。また、北米ではハチミツやメープルシロップをかけたり、アジア圏ではスープや煮込み料理に入れたりと、現地の食文化に合わせた「多彩な食べ方」でローカライズされている点も見逃せません。

身近な食卓にも潜む知財。美味しさと便利さを追求した特許・意匠

現在、海外で納豆が受け入れられている背景には、昔ながらの発酵技術に加え、現代のメーカー各社による絶え間ない技術革新があります。私たちがスーパーで手に取る納豆のパッケージや製造工程には、消費者の不満を解消し、美味しさを高めるための「知財」が詰まっているのです。

ミツカン「パキッ!とたれ」にみる、弱点を逆手に取った特許技術

納豆の容器といえば、たれの小袋が開けにくく、手が汚れてしまうという不満がありました。この課題を解決したのが、ミツカンの「パキッ!とたれ」です。

従来容器の課題 / Before

  • 小袋が開けづらく手が汚れる。
  • ゼリー状たれに変更した際は「溶けづらい」「混ぜるスペースが狭い」という問題があった。
  • 小袋や乾燥フィルムなどのゴミが発生。

パキッ!とたれ / After

  • 蓋部に液体たれを内蔵。シートを割るだけでたれがかけられる。
  • 小袋やフィルムが不要になり利便性が向上。
  • 経済性と環境負荷の軽減も実現。

Patent Insight

気泡の「配向性」を利用した巧妙な設計

この画期的な容器は、発泡ポリスチレンシートの「配向性(気泡が同じ方向に並ぶ性質)」という脆弱性を逆手に取って開発されました。落とすと決まった方向に亀裂が入る弱点を利用し、割れ補助線と気泡の向きを揃えることで、誰でもパキッときれいに割れる構造を実現したのです。

この発明は特許(第5773971号)を取得し、特許庁長官賞も受賞しています。さらに容器デザインの意匠権やロゴの商標権も取得し、多角的な知財戦略で自社の製品価値を守っています。

製造工程に隠された、美味しさを引き出す特許

容器だけでなく、製造工程にも各社の工夫と特許技術が活かされています。
※消滅したものも含めて記載しています。ご注意ください。

  • 特許事例 1

    浸漬工程の工夫(あづま食品)

    原料豆を水に浸す際、真水だけでなくナトリウムを含む水溶液に浸すことで、納豆特有の苦味や渋味を抑える技術です。

  • 特許事例 2

    蒸煮工程での圧力コントロール(ミツカン)

    大豆を蒸す際に釜の圧力をコントロールし、粘り成分である「水溶性ペクチン」の含量を増やして、もちもちとした食感を生み出します。

  • 特許事例 3

    発酵のコントロール(保谷納豆)

    発酵室で炭を燃やして二酸化炭素濃度を高め、納豆菌の活動を一時的に抑え込んだ後、新鮮な空気を取り入れて急激に発酵を活発化させることで、より風味豊かな納豆を作ります。

知財と品質を武器に世界へ!輸出を後押しする「GFP」

このように、日本の食品メーカーは高度な技術と知財によって製品の品質を磨き上げてきました。しかし、いくら素晴らしい製品があっても、言語や法規制、商流の違いが立ちはだかる海外展開を単独で進めるのは困難です。

そこで強力な味方となるのが、農林水産省が推進する「GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)」や、ジェトロの「輸出プロモーター事業」です。

【用語解説】GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)とは?

「Global Farmers / Fishermen / Foresters / Food Manufacturers Project」の略称。登録無料で、専門家による輸出診断や、会員同士のビジネスマッチング機能を利用できます。2024年末時点で10,000者以上が登録しています。

これらの支援を活用し、海外進出に成功した事例を見てみましょう。

GFPやジェトロ支援を活用した成功事例

  • 新村畜産(鹿児島県):和牛の輸出にあたり、GFPのビジネスパートナーマッチングを活用。現地の販売店スタッフへカッティングの技術指導を直接行うことで付加価値を高め、輸出額が約5千万円から約2.8億円(560%増)に拡大
    農水省GFP事例集
  • 日本レトルトフーズ株式会社(愛知県):大豆加工品の輸出にあたり、専門家のアドバイスでFSSC22000や米国FDAの施設登録を実施。台湾の顧客を自社工場に招き、安全管理体制を見せることで強固な信頼関係を構築し継続取引を実現
    ジェトロ事例集
  • 株式会社ほんま(北海道):「月寒あんぱん」の賞味期限課題を包装資材の改良で克服。展示会で末端ユーザーへ直接提案を行い、現地の卸業者を巻き込む「デマンド・チェーン」を構築し、輸出額を約4倍に拡大
    ジェトロ事例集

まとめ:日本の歴史ある食文化が、もっと世界へ羽ばたくために

納豆をはじめとする日本の食品が海外で飛躍している背景には、現地のニーズを汲み取る泥臭い営業努力と、それを支える確かな技術力・知財戦略があります。

現在の納豆ブームが単なる一過性のものとして消費されるのではなく、日本人が古くから大切にしてきたこの食文化が世界で深く認知され、それぞれの土地の食生活に自然と馴染んでいってほしいと切に願っています。そして納豆に限らず、世界に誇るべき「日本の美味しい食べ物」が、今後もっともっと世界へアピールされていく未来を期待してやみません。

こうした素晴らしい技術や製品を「特許」や「意匠」としてしっかりと権利化し、「GFP」などの公的支援をフル活用していくことは、世界市場という大海原へ漕ぎ出すための強力な羅針盤となります。

私たちミガリオは、システムを提供する立場から、知財担当者や研究開発者の皆様が日々抱える業務の負担を少しでも軽くし、本来注力すべき「攻めの知財活動」や「海外展開への戦略立案」に時間を割けるようシステムの面からサポートできるよう日々研鑽に励んでまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

明日から確認すべきチェックリスト

  • 自社製品の強み(味、食感、利便性)を支える技術について、特許や意匠の取得を検討しているか。
  • GFPやジェトロなどの公的支援コミュニティに登録し、専門家の知見やマッチングを活用しているか。
  • 輸出先の法規制(FDAやFSSC22000等)に対応するための準備や、賞味期限・パッケージの改良を進めているか。

【こちらの記事もオススメです】

今回のテーマに関連して、企業が自社のブランドや技術を守り、世界へ展開するための知財戦略に関する過去の記事もぜひ併せてご覧ください。

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研究開発の現場で生まれた大切な「発明の種」を、システムを通じて確実に守り、育てるお手伝いをいたします。
このブログでは、皆様のビジネスや研究活動のヒントとなる知財情報を発信していきます。

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