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【オリンピック×知財】体操競技の採点を支える日本のAI技術

“体操 男子団体 大逆転の金メダル獲得 おめでとうございます!!!”
パリオリンピック開幕からメダルラッシュが続く日本。
アスリートの方々の努力の成果がこのような結果として現れるのは
観戦する側としても、日本人としても何だか誇らしいですよね。

「体操 男子団体 日本が金メダル 2大会ぶり奪還 五輪」 NHK 2024.7.30
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240730/k10014529091000.html

皆さんは体操の採点がどのように行われているのかご存じですか?

体操の採点は主に2つの大きな要素から成り立っています。
1. 技術点(Dスコア) 
選手がどれだけ難しい技を成功させたかを評価します。技の難易度や正確さがポイント。
2. 芸術点(Eスコア)
演技の流れや美しさ、表現力など、技術以外の要素が評価されます。
これらの点数を合わせて最終的な得点が決まります。

陸上のタイムなどの絶対的な指標で順位が決まるのはなく、誰かに評価され、
得点を付けられることで順位が決定するという点が他の競技とは大きく異なります。
更に近年では体操器具の性能向上やアスリート達の能力向上で技の複雑化・高度化が進んでおり、
審判には高度なスキルが求められ、その肩にのしかかるプレッシャーも大きくなってきています。
実際に、男子体操6種目のトータルの技の数は約800、女子4種目では約550(合計約1300!!)となっており、高速で動くアスリートが繰り出す技を正確に把握、しかもその出来栄えまでを採点しなければいけない、と考えるとその大変さは容易に想像がつくかと思います。

体操の採点をサポートするAI技術

そんな体操の審判をサポートするAI技術が近頃急速に発展してきています。
パリオリンピックでも体操のみならず、いろいろな競技等でもAI技術の導入が進んでいるようです。
「スポーツ界に広がるAIの波 判定補助、トレーニング支援から運営まで」産経新聞 2024.7.24
https://www.sankei.com/article/20240724-LGCP2BUW45LKVGYCJZ4JB5KNAY/?outputType=theme_paris2024

AI技術を導入することで、以下のことが可能となります。
●客観的な採点ができるようになる
→AIは感情や主観に左右されることなく、常に同じ基準で採点します。
これにより採点の公平性が保たれます。
●高精度な分析ができるようになる
→AIは大量のデータを迅速に処理、選手の微細な動きや技術の違いも正確に分析できます。
●リアルタイムフィードバックが出来るようになる
→AIは即座にデータを処理,競技中に選手にリアルタイムでフィードバックを提供することも可能。
そして、AI技術と審判の目/スキルが相互に噛み合うことで更に公平性の保たれた体操の採点が実現できます。

その中でも注目されるAI技術を用いた日本のシステムとは?

それは、富士通さんが開発した体操などの採点スポーツ競技をサポートするシステムです。
●高度な映像分析が可能
→高解像度のカメラで撮影した映像を使用して、選手の動きを詳細に分析。
AIが技術的な要素や演技の美しさを判断するのに役立ちます。
●リアルタイム解析が可能
→このシステムは競技中にリアルタイムでデータを処理し、採点の精度を高めることができます。
これにより、より迅速で正確な評価が可能になります。
●統計とデータ管理が可能
→過去の競技データや選手のパフォーマンスを蓄積・分析することで、
未来の採点に役立てることができます。
となっており、日本体操連盟と富士通の共同開発でできたものだそうです。
実際に、昨年2023年にベルギーのアントワープで行われた
「第52回世界体操競技選手権大会」では既に男子6種目、女子4種目の
合計10種目に開発したシステムが適用・導入されました。
今回のパリオリンピックで体操競技で使用されている採点サポートAIツールの開発元は明かされていないようですが、もしかすると引き続き富士通のシステムが使われているかもしれませんね。

技術やシステムと知財との関わり

先進的なAI技術が多く使われているということは、、、
すなわち特許も取得しているのではないかと考え調べてみました。
簡単にではありますが、特許検索プラットフォームで「富士通 体操」と調べたところ、
それらしいものがいくつか見つかりましたので紹介します。

●特許7388576「骨格推定装置、骨格推定方法および体操採点支援システム」(特許 有効)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7388576/15/ja

●特開2022-152638「学習済みモデル、体操採点支援システム、および骨格認識方法」(特許 審査中)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-152638/11/ja

●特開2022-178356「技認識方法、技認識プログラム及び体操採点支援システム」(特許 審査中)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-178356/11/ja

まとめ

体操の採点がAIによって進化し、特に富士通さんという
日本企業の高い技術がその一端を担い、支えていることがわかりました。
AIによる採点は公正性と精度を高める一方で、その技術には特許が関わっており、
技術の保護と発展に寄与しています。
これからの体操競技の採点がどのように進化していくのか、非常に楽しみです。

□■参考にしたページ■□
※より詳しく知りたい方は以下のページも是非ご覧ください。

「体操の競技採点をサポートする Judging Support System」 富士通株式会社HP 
https://www.fujitsu.com/jp/innovation/data-driven/capabilities/judging-support-system/

「体操採点支援技術と知財戦略」 特許庁技術懇話会 2020.5.29
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/297/297tokusyu2-2.pdf

「国際体操連盟、富士通のJudging Support Systemを全10種目で利用開始」富士通株式会社 2023.10.5
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/10/5-1.html

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