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【オリンピック×知財】日本フェンシング躍進を支えた手作りの技術と特許

“香川のある町に住む夫婦が日本のフェンシングを支えている”

香川県は東かがわ市。
国内の手袋生産量の90%のシェアを占めている手袋のまちです。
そんな町でフェンシング用手袋を丹精込めて制作しているのが
細川勝弘さん、かずゑさんご夫婦。
ブランド名を【Scherma(スケルマ)】といい、イタリア語で「フェンシング」という意味。

なんでも、ご夫婦が制作するフェンシング用手袋は日本代表選手にも愛用されているようで、
東京オリンピックの時に日本がフェンシング/エペ団体で優勝した際は、
実際に試合で着用した手袋が本人の直筆のサインと共に工房に送られてきたようです。
日本代表選手のみならず海外の選手達からの評価も高いとのこと。

「フェンシングを金メダルに導いた世界一の手袋」産経新聞 2021.8.29
https://www.sankei.com/article/20210829-L2N4CABRHFLXJPV3M3WIZUVPFY/?outputType=theme_tokyo2020

では、そのフェンシング用手袋はどんな点が優れているのか、
実際に製品のHPを見てみたところ、
●Schermaさん HP https://www.scherma-jpn.com/index.html

特許を取得し更に進化した3Dの手の平構造によりヒルトとのフィト感が向上。
これまで培ってきた製作技術と経験を活かし、更に進化した最高峰のグローブです。」

との記載がありました。
なんと!!!!特許を取得しているとのことで早速調べてみました。

●特開2020-196976
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2020-196976/11/ja
●特開2022-075984
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-075984/11/ja
●特開2022-075985
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-075985/11/ja

簡単に内容を要約すると、

発明の目的 → 剣を持ったときの掌と剣との一体感を高め、操作性を向上させること
構造 → 手袋の掌部は四指領域、親指領域、中間領域に分かれており、
     それぞれが特定の縫製方法で結合されている。
特徴 → 縫製部が斜め下方に直線状に延び、
     円弧状に延びる部分を持つことで、剣の操作性が向上

といったところでしょうか。
フェンシングの剣での衝撃に耐えうる耐久性を残しつつ、
アスリートの繊細な感覚や力を剣に正確に伝えるための
高いフィット性実現のための発明といえそうです。

何度かテレビでフェンシングの試合を見ましたが、
まさしく一瞬の判断の差、スピードが勝負を分ける競技。
手や腕と剣の一体感を高めることがどれほど大切なのかは
素人でも何となく察することができます。

パリオリンピックで惜しくも個人戦準々決勝で敗れてしまった山田優選手は、
東京オリンピック時もこのSchermaさんの手袋を着用していたようです。
個人戦は終わってしまいましたが来る8/2(金)の夜からエペの団体戦が始まります。
団体戦では是非とも金メダルを獲得できるよう皆さんで応援をしましょう!!!

※Schermaさんについてもう少し詳しく知りたい方は以下リンクも是非見てみてください。
フェンシング手袋えお作り始めたきっかけなどが分かりやすく書かれています。
「世界で戦う!フェンシンググローブ(1)」 te+.journal 2017.8.10
https://te-t.jp/articles/fencing_gloves/
「世界で戦う!フェンシンググローブ(2)」 te+.journal 2017.8.14
https://te-t.jp/articles/fencing_gloves2/

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